風邪をひいた。
熱はそんなに高くなかったから学校に行った。
昼休み、本格的に具合が悪くなった。
部室で少し休もうと、廊下を歩いた。
目の前が暗くなった。
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「おや、起きましたか?」
「…こいずみ…。」
眼を覚ますと、どうやら保健室のベッドの上。
表面上は笑顔だが明らかに怒りをにじませるという
なかなかに器用な表情の古泉が視界に入る。
「…悪い。」
「まったくです。
その状態でよく学校まで来ようと思いましたね。」
「朝は…そんなに熱、なかったし…。」
「…どれくらいです。」
「37度8分…。」
「……殴りますよ。」
高熱の域に十分足を踏み入れてます、と怒る。
「…大丈夫だって、ハルヒにはバレないように…。」
「…そんなこと問題じゃありません。
というかとっくにバレてますよ。」
「…え。」
さっきまで涼宮さんもここにいましたし、と
決定的な事実を言われてしまった。
それは不覚だった。
やばいな、フォローを入れておかないと…。
「…悪かった。」
「そう思うならしっかり休んで…
はやく治してください。」
「ああ。」
世界のために、だよな。
オレはなんのためらいもなくそう言った。
とりあえず古泉に合わせた答えだった。
すると古泉の顔から張り付いていた笑顔が消えた。
つまりは怒りの表情のみになった。
阿修羅かこいつは。
「そうじゃないでしょう?!」
何怒ってるんだ?
「…何怒ってるんだ?」
思ってる通りのことが口から出た。
「僕が、あなたを心配してはいけませんか?」
ああ、そういうことな。
「……ああ、そういうことな。」
「違うって…別にお前が仕事だけでオレの見舞いに来てるなんて思ってない…。
ただのノリってか…あんま考えなしで言った…だけだから…さ。」
やばい、うとうとしてきた。
薬でものましてもらってたのかな、眠い。
「…いえ、僕こそ…すいません。」
おお、殊勝だな古泉。
そうだ…あとこれだけ言っとくか…。
「気にしてねえ…よ。
あと、ありがとな…眼を開けた時お前居て、
ちょっと嬉しか…た。」
あー、限界だ。
悪い。寝るわ。
そういや朝うち出るとき思ったっけ。
しんどくてもいいから
顔が見たい、って。
end
ちょっと甘えっ子なキョン。
身体に鞭打ってまで甘えに行くなんて筋金入り…?
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